JFIトレードフェア2012秋「ベストプランツ賞(一般審査の部)」

2012年10月2日

トレードフェアのベストプランツ賞は大きく分けて一般審査の部と当日審査の部の二つが存在します。
一般審査は園芸業界以外の方、当日審査はトレードフェアにご来場いただいた買受人さまとその招待客さまによる審査となります。
まずはトレードフェア前日に行いました一般審査の部の結果を、
審査員の声と受賞者へのインタビューを織り交ぜながらご報告申し上げます。

 

すっかり恒例となってまいりましたベストプランツ賞(一般審査の部)ですが、今回はこれまでとは趣向を変えまして、
用途別、より生活の一場面を意識した選考基準を設け審査を行いました。 

「自分がもらって嬉しいもの」、「誰かに贈りたいもの」、「自分で使いたいもの」の3つのカテゴリー別に、
エントリー商品全体の中からそれにふさわしい商品を選んでいただくという形式です。


それでは早速、審査結果の発表へとまいります。

 


 

 
まず「贈りたいもの」部門でベストプランツに選ばれましたのは

有限会社椎名洋ラン園 MIXミディ胡蝶蘭信楽焼鉢

 

椎名洋ラン園様受賞の要因とまず私が感じたのは緻密な戦略ということになります。
ミディ胡蝶蘭と信楽焼きという両巨頭が体現するものは「信頼」です。
椎名様が設定した用途はお歳暮。
人に贈りものをするときは気をつかうもの。
ましてや一年間の感謝を表し、めでたい新春を迎えるアイテムとして贈られるお歳暮に失敗したくありません。
高い安いではなく、安心を求める購買層は多数とは言えないが必ず存在する。これが椎名さまの描いたこの商品の核となる考えです。
険しくはあるが高いところに通ずる道を目指すこと。
勿論信楽鉢を使うことでミディ1Fの単価設定として適当であるのかどうか迷いはあったようです。
今回ズバリ「贈りたいもの」として一般の消費者の方から選ばれたことをお伝えしたとき、
本当に嬉しそうに笑っていただけました。
「よいものを求めて生産してゆけば、必ず理解して下さる方が存在する。それがうれしい。今後もこうした挑戦を続けていきたい」とのことばを頂けました。
実際、今回の審査でも圧倒的な票を集めたこの商品。値段が高いどころか「お買い得感がある」「むしろ安い」などの意見もいくつか聞かれました。
また「お手軽なサイズである」こと、「花色の美しさ」を評価される方も多く、アイデア頼みではない完成度の高さ、皆さまによく見ていただいていることを感じました。
今回最多得票数を誇り、また、審査とは別でお願いしたアンケートにても言及されることの多かったこの商品。
今回のベストプランツ大賞です。

 


 

 

 


続いて「もらって嬉しい」部門で選ばれましたのは

清水園 チョコレートBOX
 
今回の審査は10代から60代まで幅広い年齢層の方々にお集まりいただき審査をいただきました。

その中で若い世代から圧倒的な支持を集めたのがこのチョコレートBOX。

贈る側としては、失礼がないようご迷惑をおかけしないようとの考えから、また違う選択肢が出てきますが、
いざ自分が貰う段になると、贈り物に求めているものは「おどろき」「わくわく感」。

「かわいくて」それでいて「高級感あふれる」この商品にこころ惹かれる方が多かったようです。

「うれしい」「たのしい」などの言葉がアンケート用紙にたくさんおどっていました。
しかし、私は聞いてしまいました。この商品を開発するために、清水園様はお菓子屋さんを何件もまわり数え切れないほどのチョコレートを買い込み研究に研究を重ねられたことを。

その結果完成を見たのが、今回の箱の色と質感なのです。

「やっぱりもらった方が笑顔になれる商品をつくりたいよね」とおっしゃった清水園様の気持ちは、確かに伝わっているようです。

みんなが笑顔になれる商品を開発するためにチョコレートを求めて西へ東へはしり回る清水園様ご夫妻。

私は10代でも女の子でもありませんが、ステキだと思いました。

アイデアは真似することが出来ますが、この実行力はなかなか真似できるものではありません。
今後のアイデアもいろいろ聞かさせていただきましたが、それは今後の商品を実際に見ていただいた時のお楽しみ。
インタビュー終了後、無性に、季節外れの「春先小紅」を聴きたくなりました。
 

参考までに数年前のチョコレートBOXの画像を

これも決して悪いわけではないですが、
改めて見比べてみると、洗練の度合い、日々の努力の凄みが感じられます。


 

 

 

 

 

 


最後に「自分で使って楽しみたいもの」で選ばれましたのは

有限会社ジョルディカワムラ カリブラコア ファンシーミックス

 

あくまで私見ですが、
「消費者目線」「ターゲットの明確化」など口にする人は多いですが、それは本当に難しい。

人の心は移ろいますし、客観的な「消費者の声」などというものは存在しない。

ふわふわとまとまりのないものの中に何を見出し何を選択するのか、これは決断以外の何者でもなく、人は同じ数字を見ても違う結論を導くものなのです。
その危うさのなかでしなやかに戦い続けていらっしゃるのがジョルディカワムラ様です。
お客様のこころを掴み続けるために何が必要であるのか。そのことを考え、そのために常にマイナーチェンジをし続ける努力。それを支えるのは確かな生産技術に支えられた「こだわり」です。

例えば花色、例えば仕立て方、毎年同じ名前で出ている商品だとしても、必ずこれまでの商品とは違う商品であり続けること。

今ある場所に安住せず、もっと良いものを求め続けること。
審査員の方からは「株のまとまりがよく、乱れない」「色鮮やかで楽しめた」など実際にこれまでに使ったことのある方と思われる評価が多く見られ、確固たるファンを絶え間なき努力によって獲得し、魅了し続けていることが読み取れました。
「お客様の意見とは何ですか?具体的にどこから汲み取り、どのように設定されているのですか?」という私のいささかとらまえにくい質問に、真剣な眼差しでことばを選ばれている姿に、

うわべでわかったふりをせず、誠実に「消費者」というものを考えていらっしゃることがしっかりと伝わってきました。



今回のインタビューを終えてまず感じたことは、
それぞれの賞をそれにふさわしい方が受賞された、ということです。
良いものを届けたいと努力する生産者と、その考えをきちんと評価できる賢い消費者。
この邂逅を数多く演出することが、中間に立つ市場のはたすべき大きな役割であることを実感しました。
いい話を聞かさせていただき、とても充実した気持ちになりました。
ご商談中の貴重なお時間を頂きましてありがとうございました。

 
最後になりましたが、受賞された皆さま、本当におめでとうございました。
また、審査にご協力いただいた皆さま、誠にありがとうございました。
皆さまの今後ますますのご活躍を心よりお祈り申し上げます。

(トレードフェア実行委員 小林 十三雄)

 

 

 

トレードフェア2012春ベストプランツ賞~当日審査の部~ JFIトレードフェア2012秋「ベストプランツ賞(当日審査の部)」


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